金融検査マニュアルから読み解く金融機関対策 企業の技術力編
次のような事例の場合、企業の格付けはどうなるでしょうか?
・プラスチック用金型を受注生産する業歴 20 年を超える金型製造業者である。
・毎期赤字が継続し債務超過である。
・借入金については、条件変更による元本返済猶予が実施されている。
・代表者及び従業員のうち2名は、業界でも有名な金型職人である。
・特許権、実用新案権が出願中のものも含め、7件保有している。
・毎期赤字が継続し債務超過である。
・借入金については、条件変更による元本返済猶予が実施されている。
・代表者及び従業員のうち2名は、業界でも有名な金型職人である。
・特許権、実用新案権が出願中のものも含め、7件保有している。
まず、このケースのように毎期赤字が継続し、債務超過の状況に陥っている場合、今後業績が回復する可能性が低いと考えられるのであれば、経営破綻におちいる可能性が高いと考えられますので、「破綻懸念先」に該当するのが一般的です。
しかし、中小企業においては、企業の技術力等が十分な潜在能力、競争力を有しているかどうかという点も判断材料となります。技術力があることにより、今後の事業の継続性及び収益性が向上することが認められのであれば、企業の格付けにおいて有利となります。
この点が今回のポイントとなります。
「金融検査マニュアル別冊中小企業融資編」によれば、今回のケースは、「破綻懸念先」ではなく、「要注意先」に該当する可能性が高いとされています。
ただし、それは高い技術力により、今後も受注が確実に見込まれ、その結果業績が改善し、事業の継続性や収益性の向上に懸念がないと考えられる場合です。
従って、会社は金融機関に対し、高い技術や特許権などでどの程度の新規受注が見込まれるのか、またそれが今後の収益改善にどのように寄与するのかを十分に説明する必要があることになります。