【税理士の節税】振込手数料の会計処理で消費税を節税!?
消費税‐2通りの計算方式
消費税の計算方法には、原則課税方式と簡易課税方式があります。
原則課税方式は、預かった消費税から支払った消費税を差し引いて納税額を計算する原則的な計算方法です。
一方、簡易課税方式は、会社の場合には前々期、個人事業主の場合には前々年(基準期間といいます。)の売上高が5,000万円以下の場合に、所轄の税務署に「消費税簡易課税制度選択届出書」を提出することによって、支払った消費税は考慮せずに、預かった消費税に事業区分ごとに定められている一定の率(みなし仕入率といいます。)を掛けて算出した額を支払った消費税とみなして、簡便的に納税額を計算する方法です。
売上高に対する消費税額にみなし仕入率を掛けて算出するということは、売上金額の多寡によって納税額が決まるということです。
ですから、簡易課税方式の場合には、売上高を少なくし、みなし仕入率を高くなるようにすれば消費税の納税額を少なくできるのです。
振込手数料の会計処理
得意先からの売上代金回収時に振込手数料が差し引かれて入金されることがあります。
この場合の会計処理には2通りの会計処理があります。
一つは、振込手数料を経費として処理する方法で、もう一つは、振込手数料分を売上値引きとみなして処理する方法です。
いずれの方法をとっても最終の利益額には影響しませんので、利益額は同額です。
ただ、後者の方法を採った場合には売上高が振込手数料の分だけ少なくなりますので、消費税の計算を簡易課税方式で行っている場合には節税することができます。
わずかかもしれませんが、会社によっては影響することもあるのではないでしょうか。
高いみなし仕入率を適用して節税する
みなし仕入率は事業の区分ごとに定められています。
いずれの事業区分に該当するかは、それぞれの課税売上について判定することになっています。
複数の事業を営んでいる兼業の場合には、すべてを加重平均してみなし仕入率を計算するのが原則ですが、これには特例もあります。
一つは、ある特定の事業の課税売上高が全体の75%以上である場合には、その75%以上の事業のみなし仕入率を全体に適用することができます。
もう一つは、特定の2事業の課税売上高が全体の75%以上である場合には、みなし仕入率の高い事業の課税売上高にはその事業のみなし仕入率を適用して、それ以外の事業には一括して低い方のみなし仕入率を適用して、加重平均によりみなし仕入率を算出することができます。
このように75%ルールを上手く活用することによって、みなし仕入率を高くして、消費税の節税を図ることができるのです。