【税理士の節税】10日分の売上計上を繰り越して節税!?
原則はすべて計上
会社の決算や法人税の申告は、事業年度を単位として収入と支出を計算します。
したがって例えば3月末決算の場合、4月1日からから3月31日までのすべての収入と支出を計算して決算書を作成し、法人税の確定申告を行うことが原則です。
しかしながら、会社によっては、毎月の売上の請求書を発行するときに、締切日を月末としないで20日や25日で行っているところもあります。
この場合、原則的にはその締日から月末までの数日間の売上も抽出して計算に入れる必要があり、事務手続きが非常に煩雑になり負担が増えます。
要件を満たせば認められる
そこで、税務上も事務効率の観点からこういった商習慣を認めています。
具体的には、法人税基本通達で次の要件を満たす場合には締切日を基準にして計算できることになっています。
➀ 商習慣その他相当の理由があること ➁ 決算締切日は事業年度終了の日以前おおむね10日以内であること ➂ 毎期継続して適用すること |
この要件を満たさなければ原則通りの処理をしなければなりません。
毎期継続して適用することが要件ですから、売上の多いときだけこの特例を適用して、売上の少ないときは原則通りの処理をするといったことは認められません。
ですから、初回に関してだけ課税時期を繰り延べる効果があり節税となります。
ただし、この経理処理を行う場合には、これに対応する仕入・棚卸も締切日で行う必要がありますので、結果としては粗利益分が節税になります。
初回のみの節税ではありますが、その金額によっては大きな効果が期待されますし、この経理処理が認められている趣旨からしても決算期末の事務手続きの簡略化という観点も見逃せないでしょう。