【税理士の節税】売上を来期にする合法的節税
売上計上基準を見直す
売上を来期にするといっても、ただ単に来期に計上するということでは当然税務署から指摘を受け、租税回避として重加算税を伴う否認が行われることもあるので、これは論外です。
売上を計上する場合、その売上をいつのタイミングで計上するかについては、税務上、いくつかの基準が認められています。
この売上計上基準を見直すことによって、合法的な節税を行うことができるのです。
ただし、売上の計上基準はいったん決定すると、継続して適用することが必要となりますので、会社内部や得意先等に特別な事情がない限り変更はできません。
もちろん利益操作のために売上計上基準を変更することはできませんから、本来計上すべき売上を正しく把握するためにも、業種などに応じた合理的な基準に見直すことが必要となります。
売上の計上基準にはどんなものがあるか
売上は、商品などの棚卸資産の引渡しがあった日に計上することになっています。
この引渡した日がいつであるかについては、税務上、次のものが認められています。
➀ 出荷基準 得意先の注文に応じて、商品等を出荷したときに引渡しがあったものとする方法です。他の基準と 比較して、この方法が最も早いタイミングで売上計上されます。 ➁ 検収基準 得意先が商品等を検収して、確認が済んだときに引渡しがあったものとする方法です。 ➂ 使用収益開始基準 土地建物等を販売する場合に適用されるもので、相手方がその目的物を自ら使用して、それによっ て利益を得ることができるようになった日を引渡しがあった日とする方法です。 ➃ 検針日基準 電気、ガス、水道のようにメーター検針等により販売数量を確認したときに引渡しがあった日とす る方法です。 |
売上計上基準の変更
売上計上基準を出荷基準にしていると、当期に出荷した棚卸資産は当期の売上に計上していますので、それが決算期を過ぎて翌期に返品となった場合には、返品された棚卸資産についても税金を支払ったことになってしまいます。
この場合、もし検収基準を採用していれば、売上の計上は先方に棚卸資産が到着し検収したときになりますから翌期の売上になります。
つまり、出荷基準でなく検収基準を採用することによって、売上の計上を翌期にすることができ合法的な節税ができるのです。
得意先の検収手続が厳しく多額の返品を受けることが常態化している場合など、売上計上基準を変更することに合理的な理由があれば、売上計上基準の変更によって、結果として節税効果があるというわけです。