【税理士の節税】少しの確認だけでお金のかからない節税ができる
未払の費用をもらさず計上
決算期末になって利益が出た場合に、多くの経営者はお金を使わずにできる節税対策があれば…と考えるのではないでしょうか。
そんなときは会社の決算をもう一度しっかりと見直してもらいたいものです。
法人税は、損益計算書の利益を出発点として必要な調整があればその調整をした後の金額に税率をかけて計算することになっています。
ですから、損益計算書の利益をいかに少なくするかが節税への近道ということになります。
損益計算書は、一会計期間にどれだけの利益をあげたのかを見ることができる計算書です。
お金の出入りとは関係なく、取引の事実が発生した時点で収益と費用を認識してその差額として利益が計算されます。
ですから損益計算書に計上される費用は、お金の支払いがあってから計上するのではなく、それよりも早く取引の事実が発生した段階で計上することが会計のルールです。
では税務上はと言えば、会計のルールに歩みよりながらも債務確定基準というルールがあります。
このルールでは、減価償却費など一部の例外を除いて債務が確定したときに損金として認めるということになっています。
会計と税務の大きな違いとしては賞与引当金の計上などがありますが、中小企業の場合には、その他の大きな違いはないと考えても影響は少ないと思います。
会計も税務も大きな違いはないので、当期中に発生した費用は翌期の支払であってもできる限り早期に計上できるものは計上するということが節税効果を高めます。
未払給料の計上
未払費用の計上の中でも、金額的に大きくなるものが給料と社会保険料の未払計上です。
給料の締め日は、15日締めや20日締めなど月末になっていない会社が多いように思います。
この場合、毎月の給料を支給日に計上するのではなく、決算月に締め後の給料を計上することができます。
これによって、締め後から決算日までの期間(例えば15日締めならば16日から31日までの分)の給料を未払計上できるので、その結果当期の利益が減少して税金が安くなるという効果があります。
ただし、この未払計上は役員報酬には適用されませんから、役員報酬については日割り計算をしてはいけません。
これは会社と役員の関係があくまで委任契約であって、会社と従業員の関係が雇用関係であるのと違うからです。
未払の社会保険料も忘れずに
健康保険料や厚生年金保険料などの社会保険料は会社と従業員が折半して負担し、当月分を翌月末までに支払います。
例えば、3月決算の会社の場合、3月分の社会保険料は4月末までに支払います。
この場合、社会保険料の会社負担分については支払日に計上するのではなく、決算期に未払計上することができます。
未払給与の計上と同じで当期の利益が減少して税金が安くなるという効果があります。
また、決算日が土日祝日の場合に、決算日に引き落とされる分が翌期の月初に引き落とされているときは、2ヶ月分の未払計上ができるので決算日における確認が必要となります。
未払給料・未払社会保険料の計上はいずれも従業員数が多い場合には金額が多額になりますので、少しの確認だけで大きな節税ができるため、しっかり確認したいものです。