【税理士の節税】ソフトウエアだって除却して節税できる
ソフトウエアを取得、製作したら
まずは基本的なことですが、ソフトウエアを購入あるいは製作した場合には、原則として無形固定資産の「ソフトウエア」として資産計上することになります。
ソフトウエアを購入した場合には、購入した代金以外にも事業で使用するまでにかかったすべての費用を加算した金額をもって取得価額とします。この場合、ソフトウエアの導入に当たって自社の仕様に合わせるために行う付随的な修正作業の費用なども取得価額に含めることになります。
製作の場合には、製作にかかった原材料費、労務費や経費の額、それに事業で使用するまでにかかったすべての費用を加算した金額をもって取得価額とします。
例えば、システムエンジニアの人件費や委託外注費などもソフトウエアの取得価額に含まれます。
無形固定資産であるソフトウエアも有形固定資産と同様にその耐用年数に応じて減価償却を行いますが、その償却方法は定額法で、耐用年数は利用目的に応じて次のように決められています。
➀ 「複写して販売するための原本」と「研究開発用のもの」・・・3年 ➁ 「その他のもの」・・・5年 |
ソフトウエアの有姿除却的な処理
ソフトウエアは時の経過に伴って減価償却費を計上していきますが、事業に使用していないものについては、減価償却費を計上することは認められません。
例えば、販売用ソフトウエアとして開発したものがその後販売を中止することとなった場合など、現在使用していないソフトウエアについて廃棄処分等は行っていないが使用していないという理由で何らかの処理が認められないのかという疑問が生じます。
これについて税務上は、有形減価償却資産の有姿除却と同じようにソフトウエアにも有姿除却的な処理が認められています。
つまり物理的な除却、廃棄、消滅等がない場合であっても、次のようにそのソフトウエアを今後事業に使用しないことが明らかな事実があるときは、ソフトウエアの帳簿価額(処分見込額がある場合には、これを控除した残額)をその事実が発生した事業年度の除却損として損金に算入することができます。
この費用を計上することによって節税が可能となるわけです。
ただ、ソフトウエアは目に見えない無形のものであるがゆえに、有形のものを廃棄や処分するのと違って、将来事業で使用する見込みがないことをいかに証明するかがポイントとなります。
➀ 自社利用のソフトウエアについて ・そのソフトウエアによるデータ処理の対象となる業務が廃止され、当該ソフトウエアを利用しなく なったことが明らかな場合 ・ハードウエアやオペレーティングシステムの変更等によって他のソフトウエアを利用することにな り、従来のソフトウエアを利用しなくなったことが明らかな場合 ➁ 複写して販売するための原本となるソフトウエアについて ・新製品の出現、バージョンアップ等により、今後、販売を行わないことが社内りん議書、販売流通 業者への通知文書等で明らかな場合 |