金融検査マニュアルから読み解く金融機関対策 外部要因編
外部要因による一時的な影響により経営改善計画を下回ったケース
今回は、赤字が続き債務超過の状態になっている債務者が、経営改善計画等を作成しているもののその進捗状況が計画どおりに進んでいないケースです。
この場合、一般的には経営破たんに陥る可能性が高いとして、破綻懸念先に該当する可能性が高くなります。
しかし、「金融検査マニュアル別冊 中小企業編」によれば、
「経営改善計画等の進捗状況の検証を実施するに当たっては、計画の達成率のみをもって判断するのではなく、計画を下回った要因について分析するとともに、今後の経営改善の見通し等を検討する必要がある。」
とされています。
「金融検査マニュアル別冊 中小企業編」では、次のような例があげられています。
・スキー場に隣接するロッジの経営
・1年目、2年目の経営改善計画の進捗状況は9割程度
・3年目にあたる本年は、暖冬と人工降雪機の故障により、スキー場が経営できず、計画には大幅に未達。
・4年目以降は、スキー場も経営を再開し、計画比で8割以上の達成が見込まれる。
・1年目、2年目の経営改善計画の進捗状況は9割程度
・3年目にあたる本年は、暖冬と人工降雪機の故障により、スキー場が経営できず、計画には大幅に未達。
・4年目以降は、スキー場も経営を再開し、計画比で8割以上の達成が見込まれる。
経営改善計画3年目にあたる本年が、外部要因により計画に大幅に未達であるケースです。
これに対し、計画が達成できていないことにより直ちに破綻懸念先に該当するわけではなく、来期以降、計画に沿って業績の改善が見込まれるのであれば要注意先に相当する可能性が高いとされています。
計画を達成できなかった原因が一時的な外部の要因であり、かつ今後は改善が見込まれることが破綻懸念先とならなかった大きな要因です。
計画を達成できなかったことの理由は、金融機関にはわかりません。
しかし、その理由も含めて格付けを判断するとされている以上、金融機関に計画を達成できなかった理由と今後は改善する見込みがあることをきちんと説明する必要があるのです。