損益計算書のポイント⑦ 経理方法で利益がかわる特別償却
特別償却とは
特別償却とは、政策上の観点から税務上設けられている制度で、通常の減価償却とは別に上乗せして減価償却を行うことができます。
この制度を利用すると、固定資産の購入資金を早期に費用化することができるというメリットがあります。
特別償却制度は、業種、設備により多数設けられていますが、代表的なものをあげると「中小企業投資促進税制」があげられます。
これは、例えば1,000万円の機械装置の初年度減価償却費が500万円とした場合、その500万円に300万円(1,000万円×30%)を上乗せし、合計で800万円の減価償却費を計上することができるというものです。
特別償却の経理方法
特別償却を行った場合、その経理方法は2通りあります。
1.減価償却費として処理する方法
2.剰余金の処分により特別償却準備金を積立てる方法
1の方法は特別償却分の金額を費用として計上するのに対し、2の方法では会計上は費用として計上しません。
税務申告書において費用分を調整することになります。
そのため、税金の額は変わりませんが、決算書に表示される利益の金額は異なることになります。
手続きとしては、2の方法は複雑になりますので、1の方法を選択しているケースがよく見受けられます。
しかし特別償却は、金額も多額になることが多く、その金額を費用として計上するかどうかによる損益に与える影響は無視できないものとなります。
したがって、お金を借りやすい決算書作成のためには、費用を計上しなくてよい2の方法を選択するのがよいでしょう。