損益計算書のポイント⑧ 貸倒引当金はこの経理方法で
貸倒引当金の経理方法
貸倒引当金とは、売掛金や貸付金等の金銭債権が回収できなくなるリスクに備えて、将来の取立不能見込額を見積もったものをいいます。
貸倒引当金の経理方法には、2通りあります。
例えば、期首の貸倒引当金 500万円
期末の貸倒引当金 1,000万円とした場合
※すべて営業債権にたいするものとします。
1.差額補充法
貸倒引当金繰入額 500万円 / 貸倒引当金 500万円
2.洗替法
貸倒引当金 500万円 / 貸倒引当金戻入額 500万円
貸倒引当金繰入額 1,000万円 / 貸倒引当金 1,000万円
貸倒引当金繰入額は、営業債権にたいするものは販売費及び一般管理費に、営業外債権にたいするものは営業外費用に含まれます。
また、貸倒引当金戻入額は、特別利益に計上されます。これは前期分の修正という意味があることによります。
税務上は、洗替法が原則となりますが、帳簿上で洗替法による繰入額を明らかにしていれば差額補充法によることも認められています。どちらの方法を選択しても合計では500万円の費用を計上することになりますので、利益金額はかわりません。
選択すべき方法
ではお金を借りやすい決算書作成のためにはどちらの方法を選択すべきでしょうか?
それは、差額補充法です。
その理由は、貸倒引当金戻入額が特別利益に計上されることによります。差額補充法と洗替法を比較した場合、最終の当期純利益は同じですが、営業利益については500万円差額補充法が多くなります。
金融機関は格付けに際し営業利益を重視しますので、営業利益が多くなる差額補充法を選択すべきなのです。