知っておきたい償還財源を増やす方法 少額減価償却資産編
少額減価償却資産とは
取得価額が10万円以上のものを購入した場合、通常は固定資産として計上する必要があります。
しかし中小企業においては、取得価額が30万円未満のものについては、その取得価額の全額をその合計が年300万円に達するまで損金の額に算入することができるという制度が認められています。
この制度の対象となる、取得価額が30万円未満の資産を少額減価償却資産といいます。
この少額減価償却資産の経理方法は2通りあります。
➀ 消耗品費として全額を費用として計上する方法
➁ 固定資産として計上し、その全額について減価償却費を計上する方法
➁ 固定資産として計上し、その全額について減価償却費を計上する方法
どちらの方法を選択しても、利益の額や税金の額はかわりません。
ではお金を借りやすい決算書を作成するためには、どちらの方法を選択すべきでしょうか?
選択すべき方法は
どちらを選択すべきかを判断するためのポイントは、「債務償還年数」のうちの「償還財源」の部分です。
それぞれ次の算式で表されます。
債務償還年数 = 要返還債務 / 償還財源
償還財源 = 償却前営業利益 - 法人税等
「債務償還年数」は借入金を何年で返済することができるかという指標ですので短いほうがよいとされています。そして「債務償還年数」を短くするためには「償還財源」は多いほうがよいのです。
では、どちらの方法がよいのでしょうか?
ポイントは費用の計上方法の違いです。
➀の方法を選択した場合は、消耗品費として計上されますが、これは償却前営業利益の計算上、控除されます。
➁の方法を選択した場合には、減価償却費として計上されますので、償却前営業利益の計算上、影響がありません。
そのため、➁の方法を選択した方が「償還財源」が多くなり、「債務償還年数」は短くなります。
したがって➁の固定資産として計上し、その全額を減価償却費として計上する方法を選択した方がよいのです。