売上が増加したために格付けが下がることがあります
売上が増加したにもかかわらず
売上が増加するということは業績が好調ということですので、金融機関の格付けは上がると考えるのがふつうなのですが、実は逆に格付けが下がってしまうケースがあります。
次の算式をご覧ください。
正常な運転資金 = 受取手形 + 売掛金 + 棚卸資産 – 買掛金 – 支払手形
この算式からわかるように運転資金の増加の主たる原因は、受取手形・売掛金・棚卸資産が増加することなのですが、これらが増加する理由は次の2通りが考えられます。
➀ 売上の増加による場合
➁ 不良債権や不良在庫が増加する場合
➁ 不良債権や不良在庫が増加する場合
➀を理由とする増加であればなんら問題はありません。しかし、➁を理由とするのであれば、決算書の見た目よりも財務状況が悪いことになります。そのため、金融機関は運転資金が増加した場合には、➁の理由によるのではないのかと疑ってくるのです。
売上の増加 ⇒ 運転資金の増加 ⇒ ➁の理由と誤解されての格付けダウン
という構図です。
決算書上、前期に比べ売上高が増加していれば、運転資金の増加が売上の増加によるものであることは決算書から明らかですので、問題ありません。
問題は、決算書の売上高が増加していない場合です。
例えば、上半期に売上が落ち込んだものの下半期に売上が増加し、年間を通してみた場合には、前期と比較しても売上が増加していない場合などです。
下半期に売上が集中していますので、当然決算書上の受取手形・売掛金・棚卸資産は増加します。
しかし、決算書では前期と比較しても売上が増加していません。
となると、金融機関からは➁の理由として見られることになり、格付けが下がってしまうのです。
決算書から読み取れない以上、金融機関が➀の理由として見てくれることはありません。したがって、こちらから年間の売上推移表などを提示することにより、➀の理由であることを説明する必要があるのです。