損益計算書のポイント⑨ 圧縮記帳の場合はここに気をつけよう
圧縮記帳とは
圧縮記帳とは、国から交付される補助金や補償金、火災などにより受け取る保険金などで固定資産を取得した場合に、その受取った金額がすぐさま課税されないように税務上設けられている制度です。
この制度を選択した場合、課税額の総額を減らすことはできませんが、課税時期をおくらせることができます。
つまり「課税の繰り延べ」を行うことができます。
補助金や補償金、保険金を受け取った場合には、法人税法上、益金として課税されることになります。
しかし、火災保険を例にとると、その性質はあくまで財産損失の補てんです。にもかかわらずこの保険金が課税されてしまうと、その分、財産損失を補てんすることができなくなります。
このことから、圧縮記帳による「課税の繰り延べ」が認められているのです。
圧縮記帳の経理方法
圧縮記帳の経理方法は、次の方式があります。
1.直接減額方式
圧縮損を特別損失に計上し、その分取得した固定資産の取得価額を圧縮する方法です。
圧縮損を特別損失に計上し、その分取得した固定資産の取得価額を圧縮する方法です。
2.積立金方式
剰余金の処分により積立金として処理する方法です。会計上の損失は発生せず、申告書で調整することに なります。
これらの方法は、どちらを選択しても税額の合計額は同じです。
違うのは、会計上の利益です。
「直接減額方式」を選択した場合の方が会計上の利益は少なくなります。
一般的に圧縮記帳は、土地や建物など高額な資産を対象とするケースが多いため、圧縮損の金額も高額となるケースが多くなります。
そのため、お金を借りやすい決算書を作成するためには、利益額を多く計上することのできる「積立金方式」を選択すべきです。
なお、圧縮記帳はその適用要件や処理が複雑にですので、実際の適用にあたっては税理士にご相談されることをおすすめいたします。