簿外資産を説明して決算書の格付けアップ 保険金編
保険の解約返戻金
簿外資産として、ぜひ金融機関に説明しておきたいのが、保険の解約返戻金です。
中小企業では、従業員の退職金準備のために、養老保険に加入しているケースがあります。
この保険は、保険期間中に従業員に万が一のことがあった際には、その従業員の遺族に保険金が支払われ、満期になった場合には、会社に満期保険金が支払われます。
そして、会社はこの保険金を原資として退職金を支払うのです。
また、社長などの役員についても、万が一への備えや退職金準備のために、逓増定期保険や長期平準保険に加入しているケースがあります。
これらの保険料は、掛捨ての保険とは異なり、解約時には解約返戻金として、保険料の何割かが返還されることがその特徴です。
保険の契約内容によりますが、契約によっては、100%に近い返戻金を受取ることができるものもあります。また、要件を満たすことで、保険料の何割かを損金として計上することが可能です。
また、費用計上についても保険契約によりますが、全額損金のものや2分の1を損金とできるものなどがあります。
仮に、保険料の2分の1を損金に落とすことができ、解約時には、解約返戻金として保険料の90%を受取ることができる保険に加入しているとしましょう。既に払い込んだ保険料は100万円とします。
保険料支払い時には、その2分の1が損金となりますので、保険料として50万円を費用計上し、残りの50万円を保険積立金として資産に計上します。
そのため、貸借対照表には保険積立金が50万円計上されることになります。
しかし、実際には、既に払い込んだ保険料の90%である90万円を受取ることができますので、差額が40万円生じることになります。
この差額の40万円は貸借対照表からは読み取ることができませんので、この点を説明することにより決算書の格付けアップを狙うのです。
なお、保険の解約返戻率は、毎年変動しますので契約時の書類などで、現時点での解約返戻金がいくらになるのかを毎年確認することをおすすめします。