金融検査マニュアルから読み解く金融機関対策 多額の代表者報酬編
多額の代表者報酬により赤字となっている場合
次のような事例の場合、企業の格付けはどうなるでしょうか?
・景気低迷の影響から売上げは横ばいとなっている。
・2期連続で赤字を続けており、繰越欠損金がある。
・赤字の主だった原因は、多額の代表者報酬や支払家賃を計上していることによる。
・延滞や、返済条件の変更は今までない。
・2期連続で赤字を続けており、繰越欠損金がある。
・赤字の主だった原因は、多額の代表者報酬や支払家賃を計上していることによる。
・延滞や、返済条件の変更は今までない。
2期連続で赤字となっていますが、その主だった原因は、多額の代表者報酬や支払家賃を計上していることによるケースです。
赤字を続けているため、借入金の返済原資は会社にありません。そのため、代表者が金融機関からの借入金の返済をまかなっている状況です。
通常、赤字が続いている場合や債務超過の場合には、要注意先以下の債務者区分へと格付けされてしまいます。
しかし、「金融検査マニュアル 別冊中小企業融資編」では、「ただちに、要注意先以下の債務者区分とするのではなく、赤字の発生原因や金融機関への返済状況、返済財源について確認する必要がある。」とされています。
今回のケースでは、赤字となっているもののその理由は多額の代表者報酬を計上していることによるものであり、借入金の返済は、その代表者がまかなっています。そのため、今後とも返済が正常に行われていく可能性が高いのと認められれば、正常先に該当する可能性が高いと記されています。
ただし、代表者個人の収支状況、借入金、第三者への保証債務の有無等については当然確認されることになります。代表者個人の収支や借入金等の状況から、今後の約定返済に支障をきたすと認められるような場合には、要注意先以下に該当してしまう可能性がありますので、注意が必要となります。