損益計算書のポイント➁ 雑収入以外の計上方法をご存じですか?
従業員に社宅を提供し、家賃を受け取っている場合
会社によっては、社宅制度を設けていることがあります。従業員に社宅を提供し、その家賃の一部を従業員から受取る制度です。
従業員は家賃が低額ですむため福利厚生の一環として利用されています。
借上げ社宅の場合、会社は支払った家賃について、販売費及び一般管理費として処理し、従業員から受け取る家賃について、雑収入として営業外収益で処理をすることが一般的です。
この処理は、会計処理としては正しいのですが、お金を借りやすい決算書を作成するためには、もうひと工夫加えたいところです。
銀行などの金融機関は、売上総利益や営業利益をとくに重要視しますので、できるかぎりこれらの利益を多く計上する必要があります。
支払家賃は販売費及び一般管理費に計上するため、営業利益を減少させますが、受取家賃を営業外収益に計上した場合、営業利益に影響しません。
一連の取引であるにもかかわらず、費用だけが営業利益に影響することになるというアンバランスな状態が生じています。
そのため、そのアンバランスな状態を解消するためにも、受取家賃を営業外収益に計上するのではなく、賃借料の控除項目として処理するのです。
その結果、営業利益を多く計上することができます。
他社と費用を折半している場合
グループ会社などの他社と費用を折半するケースも見受けられます。まず自社で費用の全額を支払い、他社からその費用の一部を受け取るケースです。
この場合にも、販売費及び一般管理費に費用の全額を計上し、他社から受け取った費用については、雑収入で計上している方法が見受けられます。
こちらも会計処理としては正しいのですが、お金を借りやすい決算書という観点から考えると、雑収入ではなくその費用の控除項目として計上するのがよいでしょう。