【税理士の節税】従業員を役員に昇格させて退職金を支払う
誰も辞めさせないで退職金を支払う方法
退職金の支払いは、会社の経費(損金)になります。
通常、退職金は金額も高額になりますから思った以上に利益が出てしまう場合には、この退職金を使って節税ができれば効果的だと思いませんか。
もちろん誰も辞めさせずに支払うのです。
「誰も辞めさせないで退職金を支払うことなんて。」と思われるかもしれませんが、実際にはその場合でも退職金を支払う方法があるのです。
思った以上に利益が出てしまって節税対策を考えるということは、会社の業績向上に大きく貢献した従業員がいるはずです。その従業員を役員に昇格させて退職金を支払うのです。
従業員から役員に昇格するわけですから、その従業員本人のモチベーションが上がることも期待できます。
従業員の役員昇格については、実際には退職という事実はありませんが、法律上は、従業員としての雇用関係が終了し、新たに役員として委任契約を締結したということになります。
このタイミングで雇用関係を精算する意味合いから従業員に退職金を支払うのです。
決算日までに役員に昇格する手続きを済ませて退職金を支払えば、会社は支払った事業年度の経費(損金)にできますから、その結果、節税対策にもなります。
逆に、支払いが当期中ではなく翌期以降になるとして未払金に計上した場合には、当期の経費(損金)にはなりませんので注意が必要です。
ポイントは次の3点です。 ➀ 従業員が役員に昇格したとき ➁ 退職金規程に基づき従業員であった期間の退職金として計算すること ➂ 実際に支給すること(未払金計上は認められない) |
執行役員になった場合はどうか
同じようなケースで、最近では、従業員を執行役員にするケースもでてきています。
執行役員は、会社法や税法においてはあくまでも使用人であって役員ではないのでさらに注意が必要です。
使用人が執行役員への就任した時に支給される退職金が税務上の退職手当金に該当するかどうかは、
➀勤務関係の性質、内容、労働条件等において重大な変動があって、 ➁形式的には継続している勤務関係が実質的には単なる従前の勤務関係の延長とはみられない |
などの「特別の事実関係」があるか否かによって判断されることになります。
つまり、執行役員就任の場合は、ケースバイケースで退職手当金として取扱う場合もあればそうでない場合もあるわけですから、その判断についてはくれぐれも慎重に行う必要があります。