【税理士の節税】海外不動産投資を利用した節税
国外財産に対する日本の税制を知る
不動産投資を利用した税金対策は、日本でもよく知られた税金対策の一つです。
近年は、日本の不動産だけでなく、海外の不動産に直接投資する税金対策も増えてきました。
日本の税制では、居住者は、国内、国外を問わずすべての所得に対して課税されますので、
海外不動産投資からの収入についても海外のみならず、日本でも確定申告が必要になります。
海外でも申告して、日本でも申告が必要なら二重に課税されてしまうといった心配もでてきますが、
そこは外国税額控除という制度によって二重課税を調整することになっていて、一定額を所得税額等から差し引き調整します。
海外の不動産だからわからないだろうと高を括るのは禁物です。
現在は、国外財産調書の提出制度があり、その年の12月31日において5千万円を超える国外財産を保有する居住者は国外財産の種類、数量及び価額など必要な事項を記載した「国外財産調書」を、翌年の3月15日までに税務署に提出しなくてはなりません。
国外財産であっても不動産所得の計算は同じ
不動産所得の金額は、総収入金額から必要経費を差し引いて計算します。
土地や建物などの不動産の貸付けから得られる賃貸料収入は、国内、国外問わず不動産所得の総収入金額に含まれます。
逆に、賃貸物件に係る固定資産税、管理費、修繕費、減価償却費などは必要経費になります。
この計算の結果、不動産所得の金額が赤字の場合は、損益通算といって他の所得、例えば日本の不動産所得や給与所得などの金額から差し引くことができるのです。
ただし、セカンドハウスのように生活に通常必要でない資産の貸付けに係る損失の金額は損益通算できません。
国外財産の減価償却費
海外不動産投資に係る国外財産の減価償却費については、日本の不動産所得の金額を計算する上では、日本の税制に基づき行います。
中古の減価償却資産であれば、減価償却する耐用年数がさらに短くなりますので、より早く減価償却費を大きく計上できることになります。
この結果、不動産所得が赤字になった場合には、他の所得と損益通算することによって節税することができるのです。
また、海外の不動産については、築古物件でも建物部分の金額が7,8割なんてこともよくありますので、海外不動産の築古物件を購入し減価償却費を大きく取り込むことによってさらに節税効果が高まります。
ただし、売却時には減価償却費を大きく取り込んだ分、逆に課税される対象が大きくなることも考えられますので、売却時の税制についても想定しておくこと、その他海外での取引慣習や為替などのリスクについても想定しておかなければなりません。