【税理士の節税】在庫を減らしたら節税になる
在庫と利益の関係は
事業から得られる利益は次のように計算します。
利益 = 売上高 - 売上原価 - 経費 |
税金は、利益に対してかかりますから、売上高から差し引く売上原価や経費を多くすれば節税になります。
在庫は、上の計算式の売上原価の項目に入ります。
そこで売上原価は次のように計算します。
売上原価 = 期首棚卸高 + 当期仕入高 - 期末棚卸高 |
「在庫を減らしたら節税になる」ということは、この計算式の期末棚卸高を少なくするという意味と同じですから、結果として売上原価は多くなります。
売上高から差し引く売上原価が多くなるということは利益が減少するということですから、それに伴って税金が少なくなるというわけです。
だから、在庫を減らせば節税対策になるのです。
在庫の減らし方
在庫を減らす方法には、
➀ 決算セールなどで見切り品として処分する ➁ 価値が減少している場合には評価損を計上する ➂ 思い切って廃棄処分する |
という方法が考えられます。
見切り品として処分
見切り処分は、決算セールなどで在庫を販売して現金などに換金されることになりますから、今後まったく売れなくなってしまうよりかは少しでも現金が入ってくる方がお得です。
評価損を計上する
在庫(棚卸資産)の評価方法には、大きくわけて原価法と低価法があります。原価法はさらに次の6つに区分されます。
➀ 個別法 ➁ 先入先出法 ➂ 総平均法 ➃ 移動平均法 ➄ 最終仕入原価法 ➅ 売価還元法 |
低価法は、期末棚卸資産の種類等ごとに、取得価額と期末の時価とを比較していずれか低い方の金額を選択しますので、原価法に比べて有利です。
ですから、棚卸資産の評価方法は低価法を採用するのが良いのですが、「時価はいくら?」ということを証明することが難しいのが欠点です。
低価法が採用しにくい場合であっても、原価法についても6つの区分があるわけですから、どれが最も有利になるかを判断することも重要な事です。
廃棄損を計上する
在庫は、多ければその分経費もかかります。
例えば、倉庫のスペースや管理するための人件費などがそれです。
もし期末の在庫が不良在庫であるなら、それを購入した金額以外にもこういった無駄な費用が発生してしまうので、思い切って在庫の廃棄処分を行うことが必要です。
とは言うものの、捨ててからあの時捨てずに置いておけばよかったと後悔したくないため、廃棄することを躊躇することはよくあることです。
まして、従業員であればなおさらです。
ですから、廃棄するか否かの決断は、社長である経営者の仕事です。
また、廃棄したからと言って廃棄損を計上して終わりと短絡的に考えるのではなく、廃棄処分した場合にはそれを証明する資料を保存しておかなければなりません。
例えば、稟議書、マニフェストや廃棄処分した不良在庫の写真など、第三者から見ても廃棄したことが客観的にわかるようにする必要があります。